全国保証(7164)2027年3月期 第1四半期決算 動向まとめ

企業分析

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※本記事は、2026年3月期本決算記事(下記リンク)の内容を土台に、2027年3月期第1四半期の実績を踏まえた進捗確認を目的としたものです。

※総合評価等のスコアは本決算時点で確定したものを継続使用しており、四半期の実績によって変更するものではありません。

本決算記事は現行の評価基準(財務健全性・収益性・配当株主還元の3カテゴリ評価)が整備される前の旧評価体系で作成されているため、本記事の採点サマリーもその旧体系のまま掲載しています。あらかじめご了承ください。

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本決算時点の採点サマリー(簡易版)

項目評価
総合評価S+
業績
財務
配当
成長性
安全性

※本決算時点(2026年3月期)の評価であり、四半期では変更しません。

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本編はこちら

【7164】全国保証は長期投資に向いている?2026年3月期決算から財務・配当・今後を分析
全国保証(7164)は、住宅ローン保証を主力事業とする独立系保証会社です。2026年3月期決算では、保証債務残高が21.4兆円まで拡大し、営業収益・経常利益・当期純利益はいずれも過去最高を更新しました。さらに、14期連続増配予定やDOE(株…

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①今回の四半期実績

2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)の実績は、営業収益117億72百万円(前年同期比+2.5%)、営業利益77億24百万円(同+0.1%)、経常利益93億35百万円(同+7.9%)、親会社株主に帰属する四半期純利益65億62百万円(同+9.4%)でした。

通期予想に対する進捗率は、営業収益19.4%、営業利益18.4%、経常利益19.8%、純利益20.1%と、1Qとして特に違和感のない水準です。

業績予想・配当予想は、いずれも直近公表からの修正はありませんでした。

営業利益がほぼ横ばいだった一方で、経常利益・純利益が伸びた背景には、営業外収益の増加があります。

受取利息・受取配当金等が前年同期比+36.0%と大きく伸びたほか、2026年6月に持分法適用関連会社化した中日本総合信用からの持分法投資利益2億69百万円(前年同期はゼロ)も寄与しました。

※出典:全国保証株式会社「2027年3月期 第1四半期 決算短信補足資料」P4


なお、2027年3月期第1四半期より、投資有価証券売却損益のうち「純投資目的」で保有する有価証券(経常的に売買を行うもの)については、表示区分が「特別損益」から「営業外損益」に変更されています。

前年同期の数値もこの組み替え後の基準で算出されているため比較自体は公正ですが、経常利益の伸び率を見る際はこの表示方法の変更があったことを念頭に置いておくとよさそうです。

なお、今回の特別利益160百万円(投資有価証券売却益)は、上記の「純投資目的」の有価証券とは別に保有していた政策保有株式の売却によるもので、この表示区分変更の対象とは異なる一時的な売却益です。

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②セグメント別の動き

全国保証は「信用保証事業」の単一セグメントで、業績を開示しています。

セグメント情報の記載自体が省略されているため、事業別の詳細な内訳を確認することはできません。

その代わりに、保証債務残高の増加要因を「オーガニック成長」と「インオーガニック成長」に分けて見ると、今回の四半期の動きが分かりやすくなります。

※出典:全国保証株式会社「2027年3月期 第1四半期 決算短信補足資料」P13

オーガニック成長(新規保証実行による積み上げから、返済による減少を差し引いたもの)は純増0.2兆円、インオーガニック成長(M&A・ABL貸付・RMBS等による既存住宅ローン市場からの獲得から、ABL貸付等の減少を差し引いたもの)はほぼ横ばいでした(それぞれ会社資料の端数四捨五入により、単純合算はヘッドラインの残高差と厳密には一致しません)。

この結果、保証債務残高は2026年3月末の21.4兆円から、2026年6月末には21.5兆円へと着実に積み上がっています。

一方、インオーガニック成長(M&A・ABL貸付・RMBS等による既存住宅ローン市場からの獲得から、ABL貸付等の減少を差し引いたもの)はほぼ横ばいでした。

この結果、保証債務残高は2026年3月末の21.4兆円から、2026年6月末には21.5兆円へと着実に積み上がっています。

新設住宅着工戸数自体は低調に推移する中、保証単価の上昇等を背景に新規保証実行金額は前年同期比+13.7%伸びており、市場全体が伸び悩む中でもシェア・単価面での成長を実現している点は注目したいポイントです。

また、2026年6月に持分法適用関連会社化した中日本総合信用(愛知県名古屋市)が、今期からインオーガニック成長の新たな担い手として加わっています。

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③今回の動向で気になった点

今回の四半期は、経常利益+7.9%・純利益+9.4%という数字だけを見ると好調に映りますが、中身を分解すると一過性要因の寄与が小さくありません。

税引前利益の増加額843百万円(経常利益の増加683百万円+特別利益160百万円)のうち、持分法投資利益269百万円(中日本総合信用の持分法適用開始による一過性)と投資有価証券売却益160百万円(特別利益)を合わせた429百万円が一過性要因にあたり、増益分の約半分を占めます。

裏を返せば、一過性要因を除いても、受取利息・受取配当金等の増加という構造的な要因だけで増益分の残り半分を説明できており、地力の伸びも決して小さくないとも言えます。

満期保有債券の入れ替えによる運用利回りの改善は一過性ではなく継続的な要因であるため、この部分の増益は今後も一定程度見込めそうです。

一方、営業利益がほぼ横ばい(+0.1%)にとどまった要因は、営業費用の伸び(+7.4%)が営業収益の伸び(+2.5%)を上回ったことにあります。

内訳を見ると、債務保証損失引当金繰入額が前年同期比+25.1%と大きく増えており、これが主因です。これは保証債務残高が拡大するほど機械的に増える性質の費用であり、事業が縮小しているわけではなく、むしろ「成長に伴うコスト」として捉えるのが妥当だと考えます。

※出典:全国保証株式会社「2027年3月期 第1四半期 決算短信補足資料」P16

その裏付けとなるのが、貸倒引当金繰入額の動きです。

前年同期の▲56百万円(戻入)から今期は▲255百万円(戻入)へと戻入額が拡大しており、これは信用コストが改善していることを示しています。

代位弁済率は0.09%で前期からほぼ横ばい、担保処分回収率は71.2%から72.1%へ改善しており、与信の質そのものは良好な状態が続いていると評価できます。

保証債務残高の伸びペースについては、やや慎重に見ておきたい点もあります。

1Q時点の純増は0.1兆円で、通期計画の純増1.1兆円に対する進捗としては1Qとしてやや緩やかなペースに見えます。

ただし住宅購入・保証実行には季節性があり、1Qだけでこのペースの遅れを結論づけるのは早計です。今後の四半期でどう推移するかを継続して確認したいところです。

なお、評価基準Ver1.3で新設した配当CF負担率については、全国保証が四半期連結キャッシュ・フロー計算書を作成していないため、1Q時点では算出できません。この点は評価基準との整合性の観点から、あらかじめお断りしておきます。

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④本決算時点の評価との整合性

業績予想・配当予想はいずれも修正なく、通期進捗率も18〜20%台と1Qとして自然な水準にとどまっています。

保証債務残高も着実に積み上がっており、本決算記事で評価した「ストック型ビジネスとしての安定した成長基盤」という軸に沿った内容と言えます。

一過性要因の寄与を除いても増益基調そのものは維持されており、与信の質を示す指標(代位弁済率・担保処分回収率)も改善方向にあることから、整合性:順調と判断します。

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⑤前回からの継続性

本決算記事で挙げていた3つの懸念・注目点について、今回の1Q実績で振り返ります。

①住宅ローン市場の動向:進展。中古住宅取引件数は堅調に推移し、金融機関の住宅ローン新規貸出金額も前年同期比で増加傾向にあります。新設住宅着工戸数自体は低調な中でも、新規保証実行金額は前年同期比+13.7%と伸びました。

②金利環境の変化:変化なし。会社側は「与信関連費用への影響は限定的、運用収益にはポジティブ」との見方を示しており、1Q実績(受取利息・受取配当金等+36.0%)もこの見立てに沿った結果となっています。

③保証債務残高の推移:進展。21.4兆円から21.5兆円へと、着実な積み上げが継続しています。通期計画に対するペースはやや緩やかに見えますが、季節性を踏まえて次回以降も確認していきたいポイントです。

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⑥株価動向

※本セクションの指標データは事実の提示のみを目的としており、割安・割高の評価や投資判断は記載しません。

・株価:3,026円(2026年8月4日終値)

・PER:12.29倍(会社予想ベース)

・PBR:1.65倍(実績)

・配当利回り:4.06%(会社予想123円ベース)

・ミックス係数(PER×PBR):20.28

※ミックス係数は、PERが会社予想ベース、PBRが直近実績ベースと、異なる時点の指標を掛け合わせたものである点にご留意ください。

【過去5年間の期末ミックス係数の推移】

決算期末PERPBRミックス係数
2022年3月期11.63倍1.75倍20.35
2023年3月期12.01倍1.67倍20.06
2024年3月期13.13倍1.68倍22.06
2025年3月期12.53倍1.68倍21.05
2026年3月期12.89倍1.70倍21.91
5年平均21.09

※出典:IRBANK(PER・PBR推移)

※株価は日々変動するため、取得時点(2026年8月4日)のデータであることにご留意ください。

【ちび助のひとり言】

一過性の利益がちょっと乗っかってた四半期やったけど、それを抜いても地力の伸びはちゃんとあったんが個人的には安心材料かなぁ。

ミックス係数、5年平均あたりでウロウロしてる感じやから、このまま推移を見ていければなぁ。

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⑦管理人まとめ

経常利益・純利益ともに前年同期を上回るスタートとなりましたが、伸びの中身には一過性要因(中日本総合信用の持分法適用に伴う一過性利益)と構造的要因(運用利回りの改善)が混在している点は頭に入れておきたいところです。

一過性要因を除いても増益分の半分近くは構造的な要因で説明できており、地力の伸びが崩れているわけではないと受け止めています

営業利益自体はほぼ横ばいで、保証債務残高の拡大に伴う与信関連費用の増加が引き続き利益を圧迫する構図は本決算時点と変わっていませんが、貸倒引当金の戻入拡大や担保処分回収率の改善など、与信の質を示す指標は良好な方向にあります。

業績・配当予想の修正はなく、通期進捗率も1Qとして自然な水準です。本決算記事で評価したストック型ビジネスとしての安定成長という軸は、今回の1Qでも崩れていないと感じます。

保証債務残高の伸びペースについては通期計画に対してやや緩やかに見えますが、季節性の影響もあるため、次回以降の四半期で改めて確認していきたいと考えています。

この四半期を一言で表すなら、「一過性の追い風はありつつも、地力の成長は変わらず着実」という内容でした。

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⑧参考資料

・全国保証株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」

・全国保証株式会社「2027年3月期 第1四半期

・IRBANK(配当金の推移、PER・PBRの推移)


免責事項

※本記事に記載の四半期実績は、監査法人によるレビューを受けていない速報値です。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。

※内容には十分注意していますが、数値の転記・計算ミス等がある可能性があります。

※投資判断は、ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

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