この記事でわかること
・エクシオグループ(1951)の2026年3月期決算のポイント
・財務健全性・収益性・配当株主還元を客観的な基準で評価した結果
・長期投資家として押さえておきたい注目点とリスク
本記事の結論を簡潔にお伝えすると、3事業セグメントすべてが増収増益となり、配当は15期連続増配が見込まれる決算でした。
一方で、成長投資に伴う借入増加により自己資本比率はやや低下しており、その点も含めて解説します。
企業紹介
エクシオグループ株式会社(旧・協和エクシオ)は、東京都渋谷区に本社を置く通信建設会社です。
NTTグループやKDDIといった通信キャリア向けの通信インフラ構築を祖業とし、現在は国内大手通信建設会社の一角を占めています(コムシスホールディングス、ミライト・ワンと並ぶ3社体制)。
東証プライム上場で、JPX日経インデックス400の構成銘柄にも採用されています。
主力事業(3セグメント)
・通信キャリア事業:NTTグループ・NCC向け通信インフラの構築・保守
・都市インフラ事業:データセンター・電気空調・都市土木・再生可能エネルギー関連工事
・システムソリューション事業:SI(システムインテグレーション)・DX支援・生成AI関連ソリューション
強み・特徴
通信建設で培った電気・通信・土木の複合技術力と、全国に広がる拠点網が強みです。
近年はデータセンター建設需要や生成AI関連のシステム投資需要を積極的に取り込んでおり、単なる通信建設会社から社会インフラのデジタル化を支える企業へと事業領域を広げています。

※出典:エクシオグループ株式会社「当社の概要」(2026年6月版)P.5
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決算概要
【決算ハイライト】
・2026年3月期 本決算(2026年5月13日発表)
・売上高:787,715百万円(前期比+17.4%)
・営業利益:52,016百万円(前期比+22.5%)
・親会社株主に帰属する当期純利益:31,031百万円(前期比+15.5%)
・配当:年間68円(前期63円から増配、2027年3月期は80円を予想)

※出典:エクシオグループ株式会社「当社の概要」(2026年6月版)P.12
決算のポイント
通信キャリア・都市インフラ・システムソリューションの3事業セグメントすべてが増収増益となりました。
特にシステムソリューション事業は、受注高が前期比+38.6%、売上高が+41.3%と大きく伸長しています。
受注高は8,118億円(前期比+14.0%)と売上高の伸びを上回るペースで積み上がっており、来期以降の業績を支える裏付けとなっています。
企業理解
今回の決算で何が起きたのか
データセンター建設需要と生成AI関連のシステム投資需要という業界追い風を、3事業ともに的確に取り込んだ決算でした。
特にデータセンター関連の電気工事や、生成AI・DX関連のシステム受託開発が業績を牽引しています。
業種別考察ポイントから見た今回の決算
建設業として見るべき「受注高」「受注残高」「営業利益率」の3点はいずれも改善しています。
受注高は8,118億円(前期比+14.0%)、営業利益率は6.6%(前期6.3%)に改善しました。
工事損失引当金も673百万円(前期681百万円)とむしろ減少しており、採算悪化の兆候は今のところ見られません。
良かった点
・3事業セグメントすべてが増収増益
・受注高が売上高の伸びを上回るペースで積み上がっている
・15期連続増配(2026年度予想を含む)が見込まれている
・工事損失引当金の増加がなく、採算面での懸念が今のところ小さい
悪かった点
・自己資本比率が前期50.0%から49.5%へ微減
・有利子負債が前期比+6.2%(長期借入金は+68.2%)に増加。一方で短期借入金は▲59.2%と大きく圧縮されており、短期から長期への資金調達シフトが進んだ結果と考えられます
・のれんが15,124百万円から17,239百万円に増加(内訳の詳細は今回確認できた資料からは不明)
決算の背景
なぜこの結果になったのかを考えると、データセンター・AI関連という成長領域への積極投資が奏功した面が大きいと考えられます。
同時に、その成長投資の原資として長期借入金を増加させており、財務レバレッジがやや上がっている点は、収益拡大とセットで見ておく必要がありそうです。
今回の決算で最も重要なポイント
通信キャリア事業(国内市場の伸びが限定的)に依存しない事業ポートフォリオへの転換が、数字の上でも明確に表れてきたことだと考えます。
システムソリューション事業の急成長(セグメント利益+44.7%)は、エクシオグループが「通信建設会社」から「社会インフラのデジタル化を支える企業」へ進化しつつあることを示す、企業の本質に関わる変化だと言えそうです。

※出典:エクシオグループ株式会社「2026年3月期 決算短信」(セグメント別の概況)
総合評価
総合評価 A
財務健全性 A
収益性 B
配当・株主還元 SS
【評価ポイント】
・自己資本比率はやや低下したが、流動比率・固定長期適合率は良好で、有利子負債も返済余力は十分(財務健全性A)
・ROE・営業利益率とも改善したが、営業キャッシュフローの年度間変動が大きく、収益性は他2項目よりやや抑えた評価(収益性B)
・配当性向・DOE・連続増配・非減配歴のすべてが優秀水準で、株主還元は最高評価(配当・株主還元SS)
財務健全性 A
・自己資本比率:49.5%(前期50.0%)
・流動比率:195.9%(流動資産417,003百万円/流動負債212,857百万円)
・固定長期適合率:57.9%
・有利子負債:137,240百万円(現金預金41,718百万円に対しネットデット)。CF対有利子負債比率4.3年、インタレスト・カバレッジ・レシオ27.7倍
【評価基準】(折りたたみ)
| 項目 | ◎ 優秀 | ○ 良好 | △ 標準 | ◇ 要確認 |
|---|---|---|---|---|
| 自己資本比率 | 60%以上 | 50~59.9% | 40~49.9% | 40%未満 |
| 流動比率 | 200%以上 | 150~199.9% | 100~149.9% | 100%未満 |
| 固定長期適合率 | 100%以下 | 101~120% | 121~150% | 150%超 |
| 有利子負債 | ネットキャッシュ(現預金≧有利子負債) | 有利子負債はあるが営業CFや利益から十分返済可能 | ネットデットだが財務への影響は限定的 | 借入依存が高く財務リスクがある |
※本記事は管理人独自の分析評価基準に基づいて評価しています。
【考察】
自己資本比率は50%をわずかに割り込みましたが、これは成長投資に伴う借入増加が主因です。
インタレスト・カバレッジ・レシオが27.7倍と非常に高い水準にあることから、利払い負担の面で財務が窮屈になっているわけではないと考えられます。
長期投資家としては、今後も自己資本比率の推移を継続的に確認していきたいところです。
収益性 B
・ROE:9.4%(前期8.5%)
・ROA:約4.5〜4.7%(当期純利益ベース)
・営業利益率:6.6%(前期6.3%)
・営業CF:332億円(過去5年は264億円→55億円→419億円→68億円→332億円と変動あり)
【評価基準】(折りたたみ)
| 項目 | ◎ 優秀 | ○ 良好 | △ 標準 | ◇ 要確認 |
|---|---|---|---|---|
| ROE | 10%以上 | 8~9.9% | 5~7.9% | 5%未満 |
| 営業利益率 | 10%以上 | 5~9.9% | 3~4.9% | 3%未満 |
| 営業CF | 毎年黒字・安定 | 概ね黒字 | 黒字だが変動あり | 赤字が目立つ |
| ROA | 5%以上 | 3~4.9% | 1~2.9% | 1%未満 |
※本記事は管理人独自の分析評価基準に基づいて評価しています。
【考察】
ROE・営業利益率はいずれも改善傾向にあり、収益力は着実に高まっています。
一方で、営業キャッシュフローは5年間で大きく上下しており、この変動幅の大きさが「B」評価にとどまった主因です。
工事の進捗状況や売上債権の増減に左右されやすい業種特性と考えられますが、単年度の数値だけでなく複数年の推移で見ていく必要がありそうです。
配当・株主還元 SS
・配当性向:45.0%(連結)
・DOE・累進配当:DOE4.0%目途→2026年度以降4.5%目途に引き上げ、累進配当継続方針
・連続増配:15期連続増配(2026年度予想を含む)
・非減配歴:15年以上(増配基調のため)
【評価基準】(折りたたみ)
| 項目 | ◎ 優秀 | ○ 良好 | △ 標準 | ◇ 要確認 |
|---|---|---|---|---|
| 配当性向 | 30~60% | 20~29%、61~70% | 10~19%、71~80% | 10%未満または80%超 |
| DOE・累進配当 | DOE・累進配当あり | どちらかを採用 | 安定配当 | 配当方針が不明確 |
| 連続増配 | 10年以上 | 5~9年 | ― | 実績なし・減配あり |
| 非減配歴 | 15年以上 | 10~14年 | 5~9年 | 5年未満 |
※本記事は管理人独自の分析評価基準に基づいて評価しています。
【考察】
配当・株主還元は、評価基準の4項目すべてで最高評価となりました。
配当性向45.0%は無理のない範囲に収まっており、DOEを基準とした累進配当方針への転換(4.0%→4.5%目途)は、株主還元に対する強い意志の表れと感じます。
総還元性向60%を基準とした自己株式取得も継続しており、長期投資家としては株主還元姿勢の一貫性を評価したいポイントです。
参考:株価水準
・PER(株価収益率)※会社予想ベース:14.8倍(2026年7月17日時点)
・PBR(株価純資産倍率):1.54倍(同時点)
・配当利回り:3.11%(会社予想ベース、同時点)
・ミックス係数(PER×PBR):22.8
※現在のPER・PBRは直近の会社予想EPS・株価に基づく値のため、下表の「期末時点の実績PER・PBR」とは算出基準・時点が異なり、単純比較はできません。
【過去5年間の期末ミックス係数の推移】
| 決算期末 | PER | PBR | ミックス係数 |
|---|---|---|---|
| 2022年3月期末 | 9.02倍 | 0.82倍 | 7.40 |
| 2023年3月期末 | 11.62倍 | 0.85倍 | 9.88 |
| 2024年3月期末 | 17.09倍 | 1.09倍 | 18.63 |
| 2025年3月期末 | 13.03倍 | 1.08倍 | 14.07 |
| 2026年3月期末 | 17.66倍 | 1.59倍 | 28.08 |
| 5年平均 | – | – | 15.61 |
【ちび助のひとり言】
現在のミックス係数は22.8で、5年平均(15.61)を上回る水準でちょっと見てる感じだけど
過去5年で最も高かった2026年3月期末(28.08)にも近づいてきていて、市場からの評価が高まってきているのを感じつつ眺めてます(笑)
※ミックス係数=PER×PBR。ベンジャミン・グレアムが提唱した株価評価の目安の一つ。
※出典:IRBANK(2026年7月17日取得)
※株価は日々変動するため、上記は取得時点のデータです。
企業の本質・注目ポイント
【管理人が注目したテーマ】
通信建設会社からデータセンター・AI関連インフラ企業への進化
【概要】
中期経営計画(2026〜2030)では、成長投資3,000億円を掲げています。
主な内訳は、事業成長・拡大投資1,000億円程度、IT・DX投資700億円程度、拠点整備600億円程度、人財投資500億円程度、R&D投資200億円程度となっています。

※出典:エクシオグループ株式会社「当社の概要」(2026年6月版)P.20
セグメント別の営業利益バランスを見ても、2025年度実績では通信インフラが49%を占めていたのに対し、2030年度目標では通信インフラ・社会インフラ・システムソリューションを均等に33%ずつとする方針が示されています。
【管理人の考察】
これは推測ですが、国内の通信キャリア向け市場は成長の天井が見えやすい一方、データセンター・AI関連のシステムソリューション事業は、今後数年の成長ドライバーとして会社自身も明確に位置づけているように見えます。
長期投資家としては、単一事業への依存度が下がっていくこと自体は、業績の安定性という観点でプラスに働く可能性があると考えます。
今後については、この成長投資(3,000億円)が計画通り実行され、実際に利益成長へつながっていくかを継続して確認していきたいところです。
リスク
【現在のリスク】
建設業に共通するリスクとして、以下の点が挙げられます。
・資材価格・人件費の上昇による採算悪化
・人手不足・技術者不足・協力会社不足による工事遅延や受注機会の減少
・大型案件への依存による業績変動
・工事損失引当金の増加による利益圧迫
・公共投資・民間設備投資の減少による受注環境の悪化
なお、2026年6月の定時株主総会では、株主提案(取締役会構成に関するもの)があり、会社側はこれに反対を表明しています。
長期の財務健全性という観点で直ちに大きな懸念材料とは考えていませんが、経営体制を巡る動きとして頭の片隅に置いておきたいポイントです。
【管理人の考察】
今回の決算では工事損失引当金がむしろ減少しており、現時点で採算悪化の兆候は見られません。
ただし、データセンター需要という追い風が今後も続く保証はなく、成長投資の原資として借入を増やしている局面でもあるため、資材価格や金利動向の変化は継続的にウォッチしておきたいと考えています。
長期投資家として許容できる範囲のリスクかどうかは、今後の受注残高・工事損失引当金の推移を見ながら判断していきたいところです。
管理人まとめ
今回の決算を通じて感じたのは、エクシオグループが「通信建設業界の一角」から一歩抜け出そうとしている過渡期にあるということです。
データセンターやAI関連という成長領域を着実に取り込みながら、株主還元の姿勢も一貫して崩していない点に、経営の軸のようなものを感じます。
長期保有する立場としては、借入の増加や営業キャッシュフローの変動幅は今後も継続して見ておきたいポイントですが、それを補って余りある成長投資への意欲と、15期連続増配という実績には安心感があります。
今後は、新中期経営計画(2026〜2030)の成長投資が実際にどう利益へつながっていくか、そして事業セグメントの構成比がどう変化していくかを、じっくり見届けていきたいと思います。
この企業を一言で表すなら、「通信インフラの守り」から「デジタル社会インフラの攻め」へと軸足を移しつつある会社、と言えそうです。
免責
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。
※内容には十分注意していますが、数値の転記・計算ミス等がある可能性があります。
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※本記事の内容は、記事作成時点で確認できた情報をもとに作成しており、その正確性・完全性を保証するものではありません。


