※本記事は、2026年3月期本決算記事 の内容を前提に、2027年3月期第1四半期決算の実績を追跡・振り返るフォローアップ記事です。数値は速報値であり、監査法人のレビューを受けていない点にご留意ください。
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本決算の採点サマリー
総合評価 A
財務健全性 A 収益性 B 配当・株主還元 A
※上記は2026年3月期本決算時点の確定評価です。四半期の内容によってスコアは変更しません。
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①今回の四半期実績

※出典:東リ株式会社「2027年3月期 第1四半期 決算補足説明資料」P7
2026年4-6月期(2027年3月期第1四半期)の実績は以下の通りです。
・売上高:25,660百万円(前年同期比+2.4%)
・営業利益:625百万円(前年同期比+49.5%)
・経常利益:853百万円(前年同期比+32.8%)
・親会社株主に帰属する四半期純利益:583百万円(前年同期比+53.8%)
・通期業績予想:修正なし(2026年5月8日公表の数値を据え置き)
なぜこの数字になったのか
営業利益の伸び率(+49.5%)が売上高の伸び率(+2.4%)を大きく上回っている背景には、主に2つの要因があります。
1つ目は、前年同期(2025年4-6月期)の営業利益418百万円自体が通期の中でも低水準だった点です。同四半期は原材料価格の上昇や人件費増加の影響を強く受けた時期であり、今期の伸び率にはその反動が含まれています(管理人の推測)。
2つ目は、決算補足資料に明記されている通り、原材料価格高騰が「第1四半期に与える影響は比較的小さい」という点です。7月27日受注分から始まった価格改定は、1Q末(6月30日)時点ではまだ数字に反映されていません。
つまり、今回の増益の主因は数量増加や前年からの反動であり、価格改定による収益改善効果は、これから2Q以降にかけて本格的に乗ってくると見られます。
原材料コストの重荷そのものが消えたわけではない点には注意が必要ですが、1Qの段階でその影響を大きく受けずに増益を確保できたことは、今後の価格転嫁が進んだ場合の上振れ余地を考えるうえでもプラスの材料といえます。
進捗率(対通期予想)
・売上高:22.91%(例年1Qは21.6〜22.4%)
・営業利益:15.24%(例年1Qは8.7〜11.3%)
・経常利益:18.96%(例年1Qは11.7〜14.3%)
・純利益:17.15%(例年1Qは8.8〜11.2%)
いずれも例年の1Qレンジを上回るペースであり、通期予想(営業利益前期比▲19.6%)に対して好調なスタートを切ったといえます。
原材料価格の高騰が本格化するのはこれからとみられるため、7月27日受注分から始まった価格改定の効果がどこまで浸透するか次第では、通期予想に対して上振れの余地も残されていると考えられます。一方で、会社側は現時点で通期予想を据え置いており、原材料コストの動向は引き続き注視が必要なポイントです。
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②セグメント別の動き
インテリア事業
・売上高:24,445百万円(前年同期比+2.4%)
・セグメント利益:671百万円(前年同期比+50.2%)
主力製品の安定供給に注力したことで販売数量が伸長し、増収増益となりました。
特に、防滑性ビニル床シート「NS-800」や国産単層ビニル床シート「ヒトエ」といった前期発売製品の市場浸透が進んでいる点は、新製品投入の効果が着実に売上に反映されてきていることを示しています。
一方で、接着剤を中心に原材料の一時的な品薄状態があったことも決算資料に記載されており、調達環境そのものが安定しているわけではありません(事実として記載あり)。
増産体制やお客様への協力要請など、複数の対応策を講じて供給を維持した結果としての増益と言えます。
グローバル事業
・売上高:668百万円(前年同期比+23.3%)
・セグメント利益:▲62百万円(前年同期は▲54百万円)
売上高は前年同期比+23.3%と大きく伸びており、中国のEコマース市場向けタイルカーペット販売やASEAN・中東・インド向け輸出が好調だったことが要因です。
地域を広げる形での増収は前向きな材料と感じてます。
ただし利益面では、人件費等の間接費用の増加が響き、赤字幅は54百万円から62百万円へとやや拡大しました。
本決算記事でも指摘した通り、この事業の赤字継続は懸念してます。
今回の資料でも、中国の不動産不況や北米の建設投資低迷といった外部環境要因の説明はあるものの、赤字解消に向けた具体的な打ち手については言及が見当たりません。
今回入手した資料の範囲では確認できておらず、決算説明会資料や次回以降の開示で言及があるかどうか、チェックしていきます。
増収基調そのものは評価できる一方、収益化への道筋を引き続き注視していきましょう。
建材その他事業
・売上高:1,216百万円(前年同期比+1.3%)
・セグメント利益:17百万円(前年同期比▲35.5%)
浴室向けビニル床シート「バスナシリーズ」が好調に推移した一方、新設住宅市場の低調により建材・住設機器の仕入れ販売が前年を下回りました。利益面では、製品販売に係る物流コストや人件費の増加が影響し、セグメント利益は前年同期比で減少しています。
なお、卓球用フロアマット「コネクトマットT」が国際卓球連盟(ITTF)・日本卓球協会(JTTA)の公認フロアに認定された点は、直接的な業績インパクトはまだ小さいものの、スポーツ分野への展開余地を示す材料として注目しておきたいところです。

※決算説明会資料P18
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セグメント別まとめ
主力のインテリア事業が数量増加を軸に利益を大きく伸ばし、全体の増益を牽引しました。
グローバル事業も売上面では地域分散を伴う増収を確保しており、事業ポートフォリオの広がりという点ではプラスに評価できると感じてます。
一方、グローバル事業の赤字継続と建材その他事業の減益は、引き続きの課題ですね。
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③今回の動向で気になった点
利益の中身を分解すると
親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比+53.8%と大きく伸びていますが、この中には投資有価証券売却益151百万円(特別利益)が含まれています。
前年同期にはこの項目自体が計上されていませんでした。本業の稼ぐ力を測るなら、この一時的な利益を除いたベースでも増益基調が続いているかどうかを、次の四半期以降も確認していく必要があります。
なお、本決算記事でも指摘した通り、2026年3月期の好決算にも固定資産売却益・投資有価証券売却益という一時的な要因が含まれていました。
同じパターンが1Qにも表れている格好ですが、これは単発の利益操作ではなく、有価証券報告書に明記された会社方針に基づくものです。
東リは政策保有株式(いわゆる持ち合い株)について、連結純資産に対する比率を2028年3月末までに10%以下に縮減する方針を掲げてます。
2026年3月期には非上場株式以外の株式3銘柄を売却(売却価額合計568百万円)しています。
1Qの投資有価証券売却益151百万円も、この縮減方針に沿った継続的な取り組みの一部である可能性が高いと考えられます(どの銘柄の売却に対応するかは今回の資料からは特定できていません)。
つまり、東リの決算では「一時的な利益がどの程度乗っているか」を毎回チェックする必要がある一方、その発生源は場当たり的な資産売却ではなく、ガバナンス強化を意識した計画的な持ち合い株縮減である、という点は評価できるポイントです。
財務面では、方向としてやや気になる動きも
現金及び預金は10,110百万円から8,444百万円へ減少した一方、有利子負債は10,180百万円から10,780百万円(短期5,630+長期5,150)へ増加しました。本決算記事では「現預金が有利子負債をわずかに下回る」水準としていましたが、その差は1Qでさらに広がっています。
なお、四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されておらず、営業CFの実際の動きは今回の資料からは確認できません(決算短信の注記にも明記されている通りです)。
減価償却費は711百万円から810百万円へ13.9%増加しており、大型設備投資の負担が続いている点も、財務体質を見るうえで頭に入れておきたいところです。
価格改定の効果は、まだこれから
Part①でも触れた通り、7月27日受注分から始まった価格改定は1Q末時点では数字に反映されていません。
会社側が通期予想を据え置いている背景には、「原材料高騰の悪影響」と「価格改定による収益改善」のどちらが上回るか、まだ見極めがついていないという事情がありそうです(管理人の推測)。
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④本決算時点の評価との整合性
【判定:順調】
本決算記事の総合評価(A/財務健全性A/収益性B/配当A)は、四半期の内容によって変更しない方針ですが、1Qの実績を踏まえると、本決算時点の評価との整合性は「順調」と判断できます。
財務健全性(A)との整合性
自己資本比率の水準自体は大きく崩れていませんが、現金及び預金が有利子負債を下回る差が1Qでやや拡大しました。
本決算記事で「厳密にはまだネットキャッシュには至っていない」としていた状態は、方向としては変わっていません。
ただし、これは政策保有株式の縮減など計画的な取り組みの過程で生じている変動であり、財務健全性の評価そのものを揺るがす動きでは無いと考えています。
収益性(B)との整合性
営業利益進捗率15.24%は例年の1Qレンジを上回るペースであり、収益性評価「B」を裏切る内容ではありません。
むしろ、原材料高騰の影響がまだ本格化していない段階でこの進捗を確保できている点は、通期予想(前期比▲19.6%)に対して下振れではなく、むしろ健闘していると思っています。
配当・株主還元(A)との整合性
配当予想に変更はなく、中期経営計画で示されている「年間配当19円を下限とする方針」も維持されています。株主還元姿勢に変化を示す材料は今回の資料からは確認できませんでした。
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⑤前回からの継続性
本決算記事で挙げていた懸念点・注目点について、1Q時点での進展を振り返ります。
原材料価格高騰への価格転嫁力:進展途上。7月27日受注分からの価格改定が始まったばかりで、1Q末時点ではまだ効果が数字に表れていません。2Q以降の実績で確認する必要があります。
グローバル事業の立て直し:変化なし。セグメント損失は54百万円から62百万円へ拡大しており、具体的な立て直し策への言及も今回の資料からは確認できませんでした。
売上面での地域分散(中国Eコマース・ASEAN・中東・インド向け輸出の伸長)は前向きな材料ですが、収益化の道筋はまだ見えていません。
一時的利益への依存:継続中。投資有価証券売却益は本決算に続き1Qにも計上されています。
政策保有株式縮減という会社方針に沿った動きであることは確認できましたが、この傾向は今後も続く可能性があり、本業ベースの実力を都度切り分けて見る必要があります。
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⑥株価動向
・株価:663.0円(2026年8月7日15:30時点、前日比▲19.0円/▲2.79%)
・PER(会社予想ベース):11.1倍
・PBR(実績ベース):0.72倍
・配当利回り(会社予想ベース):5.13%
・時価総額:399億円
・ミックス係数(PER×PBR):約7.99倍
※取得日:2026年8月7日(決算発表日ではなく、本記事作成時点のデータです)
※出典:銘柄スカウター、IRBANK
※本決算記事の「参考:株価水準」セクション(2026年7月17日時点)もあわせてご参照ください。
【考察】
本決算記事時点(PER10.61倍・PBR0.7倍・利回り5.35%)と比べると、株価はやや下落し、PER・PBRともに上昇、配当利回りは低下する方向で推移しています。
ミックス係数も約7.43倍から約7.99倍へと上昇しており、5年平均(4.69倍)からの乖離はやや広がった形です。
これは主に、株価自体の動きというより、来期(2027年3月期)の大幅減益予想を織り込んで予想EPSが切り下がっていることが影響していると考えられます(本決算記事でも同様の傾向を指摘していました)。
1Qの実績が例年以上の進捗ペースだったことを踏まえると、今後の株価指標がどのように反応していくかは注目したいポイントです。
【ちび助のひとり言】
1Qの数字見たら、「減益を抑えれそうに見えるけど、まだ本格化してないだけかな?」
本決算後のチャートの動きは
「下値固めたかな?」「悪材料でつくし?」
と見れるよね。
まぁ長期で配当をと思ってるので短期の値動きはそこまで注視はしてないけどね
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⑦管理人まとめ
1Qの実績は、進捗率・増収増益ともに例年を上回る滑り出しでした。
ただし中身を見ると、営業利益の伸びは前年同期の水準の低さと、原材料高騰の影響がまだ届いていないことによる部分が大きく、驚くような成長が起きたわけではありません。
会社側も通期の大幅減益予想を据え置いており、この1Qを受けて見通しを変えるような動きは今のところ見られません。
つまり今回の1Qは、良くも悪くも想定の範囲内の、無難なスタートだったと言えます。本当の勝負は、7月からの価格改定効果と原材料コスト増のどちらが上回るかが見え始める2Q以降です。
この四半期を一言で表すなら、「波乱はないが、答えはまだ先にある決算」です。
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⑧参考資料・免責事項
【参考資料】
・東リ株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信」(2026年8月発表)
・東リ株式会社「2027年3月期 第1四半期 決算補足説明資料」
・銘柄スカウター(Monex)
・IRBANK(東リ 7971 四半期進捗、PER推移)
・東リ株式会社「有価証券報告書 第162期」
【免責事項】
※本記事は、2026年3月期本決算記事の内容を前提とした四半期フォローアップ記事です。
※数値は速報値であり、監査法人のレビューを受けていない点にご留意ください。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。
※内容には十分注意していますが、数値の転記・計算ミス等がある可能性があります。
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※本記事の内容は、記事作成時点で確認できた情報をもとに作成しており、その正確性・完全性を保証するものではありません。


