※本記事は、ダイダン株式会社の2027年3月期第1四半期決算(2026年8月5日発表)を踏まえた動向まとめです。
※本決算(2026年3月期)で確定した総合評価・スコアは、四半期の内容によって変更しません。今回はあくまで進捗の確認・検証を目的としています。
※本記事に記載の数値は、監査法人によるレビュー(任意)は受けているものの、通期決算のような詳細な確定値ではなく速報的な位置づけの数値である点にご留意ください。
本決算時点の採点サマリー
総合評価 A
財務健全性 S
収益性 S
配当・株主還元 A
※上記は2026年3月期本決算時点の確定評価です。四半期の内容によって変更しません。
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①今回の四半期実績
2026年8月5日発表の2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)の実績は以下の通りです。
| 項目 | 2026年3月期1Q | 2027年3月期1Q | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 完成工事高 | 60,147百万円 | 61,601百万円 | +2.4% |
| 受注工事高 | 66,492百万円 | 151,176百万円 | +127.4% |
| 営業利益 | 9,703百万円 | 10,932百万円 | +12.7% |
| 経常利益 | 10,066百万円 | 11,292百万円 | +12.2% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 6,885百万円 | 6,571百万円 | △4.6% |
| 期末繰越工事高 | 264,744百万円 | 444,848百万円 | +68.0% |

※出典:ダイダン株式会社「2027年3月期 第1四半期決算説明資料」P3
受注工事高・期末繰越工事高がいずれも過去最高を更新した一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比で減益となりました。
通期業績予想(2026年5月13日公表)に対する修正は今回ありません。
進捗率で見ると、受注工事高は通期予想360,000百万円に対して42.0%(前年同期は18.8%)と大きく先行しています。
一方、完成工事高は通期予想265,000百万円に対して23.2%(前年同期23.5%)とほぼ横ばいであり、受注の伸びが完工ベースの業績にはまだ反映されていません。
②セグメント別の動き
産業施設工事(データセンター・工場・研究所・物流施設)の受注は28,374百万円から64,340百万円へ増加しました。
決算説明資料では、この増加について「計画延期となっていた大型のデータセンターや半導体工場等の受注により」と説明されています。
新築工事の受注は35,541百万円から110,253百万円へ大幅に増加し、直接工事の受注比率は45.5%から38.9%へ低下しました。
海外工事(連結)の受注は8,564百万円から27,651百万円へ増加し、受注全体に占める比率も12.9%から18.3%へ拡大しています。

※出典:ダイダン株式会社「2027年3月期 第1四半期決算説明資料」P13
なお期末繰越工事高における産業施設工事の構成比は52.4%から38.6%へ低下しています。
金額自体は138,708百万円から171,497百万円へ増加しているため、特定分野への依存というより、一般工事(オフィス・商業施設等)も含めた全体的な積み上がりと見ることができます。
③今回の動向で気になった点
受注工事高の急増を素直に好感したいところですが、いくつか丁寧に見ておきたい点があります。
まず、税金等調整前四半期純利益は10,069百万円から11,296百万円へ増加した一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,885百万円から6,571百万円へ減少しました。
実効税率を計算すると、前年同期の31.2%から今回41.5%へ大きく上昇しています。
決算資料にはこの要因についての明確な説明がなく、現時点では未確認としか言えません。
次に、今回の受注急増の性質についてです。
決算説明資料の文言が「計画延期となっていた」案件の受注である点から、これは将来需要の先食いというより、過去に遅延していた案件がまとまって成約した側面が大きいと考えられます。
この区別は重要で、前倒し型の受注急増であれば翌期以降の反動減が懸念されますが、遅延回復型であれば理論上そうした反動リスクは相対的に小さいと考えられます。
ただし、どの案件がどの程度延期されていたのかは開示がなく、この点も未確認です。
また、会社側は受注工事高がQ1だけで通期予想の42.0%に達しているにもかかわらず、通期の受注予想・業績予想いずれも据え置いています。
会社自身がこの受注ペースを「通期の新常態」とは見ていない可能性があり、この保守的な据え置き姿勢自体は堅実な経営判断とも言えますが、裏を返せば今回の急増を単純に上振れ材料と捉えるのは早計かもしれません。
一方でポジティブな材料もあります。
四半期包括利益は6,246百万円から7,136百万円へ増加しており、その他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定はいずれも改善しています。
単年度の税負担の増加だけで「悪い決算」と捉えるのは一面的で、資産サイドの体力はむしろ強化されていると見ることができます。
未成工事受入金(前受金)も10,646百万円から18,790百万円へ増加しており、大型案件の受注に伴う運転資金の確保が進んでいる点もプラス材料です。
④本決算時点の評価との整合性
本決算時点の総合評価(A、財務健全性S・収益性S・配当株主還元A)との整合性について、現時点では概ね順調と捉えています。
自己資本比率は56.2%から59.9%へさらに改善しており、財務健全性の高さは1Qでも維持されています。
一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益の減益(実効税率要因、未確認)と、海外事業の利益率がこの資料からは確認できない点は、本決算時点で挙げていた懸念(海外事業の採算改善は道半ば)と地続きの要注意ポイントとして引き続き注視が必要です。
⑤前回からの継続性
本決算記事で挙げていた懸念・注目点について、今回の1Qでの進捗を振り返ります。
完成工事高の再成長が2028年3月期以降に実現するか
今回1Qの完成工事高は前年同期比+2.4%とわずかながらプラスに転じました。
通期予想も+3.4%増収を見込んでおり、踊り場を脱しつつある兆しはありますが、本格的な反発と呼べるかはまだ判断材料が少なく「進展」とまでは言い切れない段階です。
海外事業の採算改善が進むか
海外工事の受注・完成工事高はいずれも大きく伸びていますが(受注8,564→27,651百万円、完成5,345→6,837百万円)、利益率についての開示は今回の資料からも確認できませんでした。継続して「未確認」の状態です。
連結範囲変更(Presico社・セラボヘルスケアサービス社)を除いた既存事業の実質成長率
今回の資料からも切り分けができず、引き続き未確認です。
営業キャッシュフローの変動の大きさ
第1四半期の四半期連結財務諸表には、四半期連結キャッシュ・フロー計算書自体が作成されていない旨が注記されています。この点は次の中間決算(2Q)で改めて確認する必要があります。
⑥参考:株価水準
以下の指標データ部分は事実の提示のみを目的としており、株価の割安・割高の評価や投資判断は記載しません。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 株価 | 2,417円 |
| PER(会社予想ベース) | 11.46倍 |
| PBR | 2.4倍 |
| 配当利回り(予想) | 3.57% |
| ミックス係数(PER×PBR) | 27.50 |
※出典:IRBANK(取得日:株価・PER・PBRは2026年8月4日、配当利回りは2026年8月3日時点)
【過去5年間の期末ミックス係数の推移】
| 決算期 | 期末PER | 期末PBR | ミックス係数 |
|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 7.77倍 | 0.58倍 | 4.51 |
| 2023年3月期 | 7.66倍 | 0.62倍 | 4.75 |
| 2024年3月期 | 11.74倍 | 1.14倍 | 13.38 |
| 2025年3月期 | 9.12倍 | 1.49倍 | 13.59 |
| 2026年3月期 | 12.65倍 | 2.60倍 | 32.89 |
5年平均:約13.82
※出典:IRBANK
【ちび助のひとり言】
配当利回り3.57%は、うちの3.5%ラインをギリギリ超えてきてるところやな〜。
ただミックス係数だけ見ると直近の32.89は5年平均の13.82からだいぶ跳ねてて、市場評価がここ1〜2年で急に切り上がった感はあるんよな。
これはダイダン自体というより、半導体・データセンター銘柄として市場に見られてる面が大きいんかもなぁ。
受注の中身がまだ靄がかかってるのと合わせて、もうちょい様子見でもええんかなぁって思ってる。
⑦管理人まとめ
今回の1Qは、受注・繰越工事高がともに過去最高を更新する一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益は減益という、一見すると評価に迷う内容でした。
ただし減益の主因は実効税率の上昇にあり、本業の稼ぐ力を示す営業利益・経常利益はいずれも前年同期比で増益を維持しています。
配当については、2027年3月期の年間配当金予想85円に修正はなく、配当性向40.2%・DOE8.0%と、本決算時点で確認した株主還元方針が引き続き堅持されています。
受注急増の中身が「計画延期案件の遅延回復」である可能性が高い点は、単純な先食いによる反動減リスクとは性質が異なるとポジティブに捉えられる一方、その延期の背景や規模感は開示がなく、地力の受注ペースがどの程度かは次の四半期以降も注視が必要です。
海外事業の採算、連結範囲変更を除いた実質成長率、営業CFの安定性という本決算からの持ち越し課題は、今回もいずれも「進展」とまでは言えず、引き続き宿題として残っています。
この四半期を一言で表すなら、「数字は強いが、中身の解像度はまだ粗い四半期」でした。
参考資料
・2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
・2027年3月期 第1四半期決算説明資料
【免責事項】
本記事は、企業が公開している決算資料等をもとに、管理人が独自の基準で分析・作成したものです。
記載している数値は、四半期決算という速報的な性質上、監査法人によるレビュー(任意)は受けているものの、通期決算のような確定値とは位置づけが異なる点にご留意ください。
投資判断を勧誘するものではなく、記載内容の正確性を保証するものでもありません。
投資に関する最終判断は、ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。


