エクシオグループ(1951)2027年3月期 第1四半期決算 動向まとめ

企業分析

※本記事は、2026年8月7日発表の第1四半期決算短信・決算補足資料に基づく速報的な内容です。数値は監査法人のレビューを受けていない速報値です。

本決算(2026年3月期)の確定評価を土台に、今回の第1四半期実績がその評価とどう整合しているかをまとめます。

採点サマリー(本決算時点の確定評価)

総合評価 A
財務健全性 A
収益性 B
配当・株主還元 SS

※上記は2026年3月期本決算の確定数値による評価です。四半期の内容によってスコアを変更することはありません。今回の1Q実績は、このスコアの検証材料として位置づけています。

本決算の詳しい分析はこちら👇

エクシオグループ(1951)2026年3月期決算を解説|受注高14%増・15期連続増配へ
この記事でわかること・エクシオグループ(1951)の2026年3月期決算のポイント・財務健全性・収益性・配当株主還元を客観的な基準で評価した結果・長期投資家として押さえておきたい注目点とリスク本記事の結論を簡潔にお伝えすると、3事業セグメン…

①今回の四半期実績

【1Q実績ハイライト(2026年4月1日〜6月30日)】

・受注高:2,182億円(前年同期比+5.1%)
・売上高:1,557億円(同+12.4%)
・営業利益:106億円(同+89.4%)
・経常利益:113億円(同+96.9%)
・純利益:69億円(同+88.1%)
・通期業績予想:修正なし(据え置き)
・配当予想:修正なし(年間80円予定、据え置き)

※出典:エクシオグループ株式会社「2027年3月期 第1四半期決算補足資料」P1

進捗率をどう見るか

通期計画(売上高7,500億円・営業利益560億円)に対する1Q進捗率は、売上高20.8%、営業利益18.9%、経常利益20.7%、純利益19.5%です。

単純に「4分の1(25%)」を基準にすると低く見えますが、エクシオグループは例年、工事の完成・検収が期末に集中するため、Q4(1〜3月期)の利益比率が高くなる季節性があります
前期(2026年3月期)の実績では、通期営業利益520億円のうちQ4単体が232億円と、通期の4割強を占めていました。

この季節性を踏まえたうえで前年同期と比較すると、前年1Qの営業利益進捗率は10.8%(56億円/520億円)でした。今期は18.9%であり、進捗率そのものが前年同期より改善していることになります。「25%に届いていない」ことよりも、「前年の同時期と比べてどうか」で見るのが、この会社の実態に近い評価と考えられます。

利益の伸びの中身

前年同期には投資有価証券売却益7.6億円という一時的な特別利益がありましたが、今期はこれがゼロです。
それにもかかわらず経常利益が前年同期比+96.9%となっていることから、一時的な要因に頼らない、本業の実力による増益と言えそうです。

※出典:エクシオグループ株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信」P6(四半期連結損益計算書)

②セグメント別の動き

【セグメント別実績(1Q、前年同期比)】

セグメント受注高売上高セグメント利益
通信インフラ766億円(+13%)601億円(+4%)58億円(+11%)
社会インフラ611億円(+19%)491億円(+20%)26億円(+1,400%)
システムソリューション805億円(▲9%)464億円(+17%)21億円(+1,044%)


※出典:エクシオグループ株式会社「2027年3月期 第1四半期決算補足資料」P5

セグメント区分が変更されている点にご注意ください

今回から、従来「システムソリューション」に含めていたグローバルユニットが案件の性質に応じて各セグメントへ再配分され、従来「都市インフラ」に含めていた一部の通信インフラ関連事業が「通信キャリア」へ移管されました。
これに伴い、セグメント名称も「通信キャリア事業」「都市インフラ事業」から「通信インフラ」「社会インフラ」へと変更されています。

前年同期の数値も変更後の区分で開示し直されているため、今回の前年同期比は正しく比較できますが、前回の本決算記事で使ったセグメント名称・数値とは単純比較できません
中期経営計画の推進にあたり、事業ごとのマネジメント責任を明確にする狙いがあるとのことです。


※出典:エクシオグループ株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信」P8(セグメント情報等の注記)

なぜこの数字になったのか

社会インフラ・システムソリューションのセグメント利益は前年同期比+1,400%・+1,044%という大きな伸びですが、これは前年同期の利益がそれぞれ1億円という低水準だったための反動増(ベース効果)が主因です。
絶対額で見ると26億円・21億円であり、通信インフラの58億円と比べるとまだ小規模です。伸び率の大きさだけでなく、利益の絶対額でどのセグメントが実際に稼いでいるかを見ておく必要があります。

通信インフラは、光回線工事やモバイル分野での設備投資を取り込み、受注・売上・利益がバランス良く伸びています。社会インフラは、データセンター関連の電気工事需要が引き続き強く、電設エンジニアリング分野の受注が+25%と伸びています。

一方、システムソリューションは売上高・利益は伸びているものの、受注高が▲9.1%(うち情報システムが▲13%)となっています。次期繰越高(バックログ)も同セグメントで▲9%減少しており、これは「積み上がっていた過去の受注残高を今期消化している」状態とも読めます。
生成AI関連需要への対応力強化を進めている段階とのことですが、今後の受注動向は注視したいポイントです

※出典:エクシオグループ株式会社「2027年3月期 第1四半期決算補足資料」P4(次期繰越高)

③今回の動向で気になった点

財政状態:資産・負債がともに大きく減少

総資産は前期末比▲651億円の6,259億円、負債は▲663億円の2,780億円となりました。
主因として会社は「受取手形・完成工事未収入金等の減少」「支払手形・工事未払金等及び短期借入金の減少」を挙げています。

※出典:エクシオグループ株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信」P4(四半期連結貸借対照表)

受取手形・完成工事未収入金等は305,419→191,937百万円へ大きく減少する一方、現金預金は41,718→52,163百万円に増加しています。

売掛金の回収が進み現金化されたようにも見えますが、今回の1Qは四半期連結キャッシュ・フロー計算書が作成されていない(決算短信に明記)ため、これが実際に営業キャッシュフローの改善によるものかどうかは、この資料だけでは確認できません。
工事代金の回収サイクルによる期末・期初の季節的な動きである可能性もあり、確定的なことは言えないというのが正直なところです。

なお、前回本決算記事で懸念点として挙げていた有利子負債については、短期借入金が21,251→5,601百万円(▲73.6%)と大幅に圧縮されています
財務レバレッジの上昇傾向という前回の懸念は、少なくとも1Q時点では反転していると見てよさそうです。

成長投資の実行:DNX Ventures USへのLP参画

中期経営計画(2026〜2030)で掲げる「先進技術への挑戦」の一環として、米国のベンチャーキャピタルであるDNX Ventures USが運営するファンドにリミテッドパートナーとして参画することを決定しています。
金額規模は今回の資料からは分かりませんが、計画で掲げた方針を実際の投資アクションに移している点は、経営の実行力を見るうえでの材料になります。
また、システムソリューション事業では、中堅企業のDX支援オファリング「EXLIGN」の提供を2026年4月に開始しており、こちらも高付加価値領域へのシフトという中計の方向性を裏付けています。

業績予想は据え置き。その妥当性

1Q時点の利益進捗率(18.9〜20.7%)は、季節性を踏まえれば前年同期より改善しているペースですが、会社は通期業績予想・配当予想とも修正していません。
決算短信では、中東情勢による一部資材の納期遅延懸念や、景気下押しリスクへの注視について触れられており、下期にかけての不確実性を見越した慎重な姿勢とも取れますが、上振れの期待も当然ありますよね。

確認できなかった点

2026年6月の株主総会で表明されていた株主提案(取締役会構成に関するもの)への対応・結果について、今回の決算短信・補足資料には記載がありませんでした。前回の本決算記事執筆時点でも触れていた論点ですが、今回の資料だけでは進捗を確認できません。

④本決算時点の評価との整合性

本決算(2026年3月期)で確定した評価は、財務健全性A・収益性B・配当・株主還元SS・総合評価Aです。四半期の実績によってこのスコアを変更することはありませんが、1Qの内容が評価の方向性とどう整合しているかを見ていきます。

財務健全性A:整合的、やや改善方向

本決算時点の懸念点は、成長投資に伴う借入増加による自己資本比率の微減(50.0%→49.5%)でした。1Q末時点では自己資本比率は54.8%まで改善しており、短期借入金も21,251→5,601百万円と大幅に圧縮されています。

財務健全性の評価根拠を崩す材料は見当たらず、むしろ懸念だった方向が緩和されています

収益性B:整合的、進捗は前年より良好

本決算評価では、ROE・営業利益率の改善を評価しつつ、営業キャッシュフローの年度間変動の大きさを理由にBにとどめていました。

1Qは営業利益・経常利益とも前年同期比+89〜97%と大幅増益で、進捗率も前年同期より改善しています。
ただし、四半期のキャッシュフロー計算書は作成されておらず、本決算評価で指摘したCFの変動性について1Q時点で判断材料が増えたわけではありません。
収益性の評価を見直す材料にはならず、B評価の妥当性を覆すものではないと考えます。

配当・株主還元SS:変更なし

配当予想は年間80円で据え置き、修正なしです。本決算時点の評価(配当性向・DOE・連続増配・非減配歴の4項目すべてで最高評価)を変える要素は今回ありません。

総合評価A:整合的

1Qの内容は、本決算時点の評価を裏付ける、あるいはやや上振れの方向を示す内容でした。評価を見直す必要が生じるような下振れ材料は、今回は確認できませんでした。

⑤前回からの継続性

前回の本決算記事で挙げていた懸念点・注目ポイントについて、1Qでの進捗を振り返ります。

自己資本比率の微減 → 進展

本決算時点で50.0%→49.5%への微減を挙げていましたが、1Q末では54.8%まで改善しています。

有利子負債の増加(特に長期借入金+68.2%) → 進展

本決算時点で長期借入金の大幅増加を懸念材料としていましたが、1Q末の長期借入金は95,989→95,962百万円とほぼ横ばいです。
短期借入金も21,251→5,601百万円まで圧縮されており、借入増加を伴う財務レバレッジ上昇という流れは、1Q時点では止まっているように見えます。

のれんの増加(内訳不明) → 変化なし

本決算時点で15,124→17,239百万円への増加を「内訳が確認できない」点とあわせて挙げていましたが、1Q末は17,239→16,194百万円に減少しています。
これは新規のM&A等によるものではなく、通常の償却(886百万円)によるものです。新規の取得は確認されていません。。

成長投資(3,000億円)が利益成長につながるか、セグメント構成比の変化 → 進展の兆し

本決算記事の「管理人まとめ」で今後注目したいとしていた点です

1Qでは、DNX Ventures USへのLP参画という具体的な投資アクションが確認できました。
また、セグメント区分そのものが「通信インフラ」「社会インフラ」「システムソリューション」の3事業に再編され、マネジメント単位が明確化されています。
ただし、利益バランスが目標(2030年度に3事業均等33%ずつ)に向けてどう変化しているかは、1Q単体のデータではまだ判断材料が不足しています。
今後の四半期でも継続して見ていきたいポイントです。

⑥株価動向

・株価:2,632円(2026年8月12日時点)
・PER(会社予想ベース):15.07倍
・PBR(実績):1.56倍
・配当利回り(会社予想ベース):3.04%(年間配当80円÷株価2,632円で算出)
・時価総額:5,412億円

※出典:IRBANK(2026年8月12日取得)
※株価は日々変動するため、上記は取得時点のデータです。

決算発表後の値動き

1Q決算発表(8月7日)当日の終値は2,676円で、前日(8月6日、2,641円)から+1.3%の上昇となりました。その後8月10日には2,581円まで下落する場面もありましたが、8月12日時点では2,632円まで戻しています。増収増益・進捗率が前年より改善という内容を、市場はひとまず好感した形ですが、その後数日は方向感の定まらない値動きとなっています。

ミックス係数で見る現在の株価水準

PER15.07倍×PBR1.56倍=ミックス係数23.5。

本決算記事で確認した過去5年平均(15.61)は上回っていますが、2026年3月期末時点の28.08と比べると、まだ距離がある水準です。(注)本決算記事の「参考:株価水準」もあわせて参照ください。

【ちび助のひとり言】

PFに入れるには、利回り3.5%を最低水準にしてるから、今の3.04%はちょっと物足りない気もするけど、16期連続増配の実績積み上げてきてるし、今回の1Qの内容見てたら、下期でワンチャン予想修正くるんちゃうかな…って淡い期待は持ってます。

⑦管理人まとめ

今回の1Qは、3セグメントとも増収、利益面では前年同期比で大幅な伸びとなりました。
進捗率だけを見ると「25%基準」に届いていないように映りますが、この会社は例年Q4に利益が偏る季節性があり、前年同期の進捗率(10.8%)と比べればむしろ改善しているペースです。
加えて、前年同期にあった一時的な特別利益がない中でこの増益率という点で、利益の中身も悪くない内容だったと感じます。

前回の本決算記事で懸念点として挙げていた自己資本比率・有利子負債の増加については、1Q時点でどちらも改善方向にあり、財務健全性の評価を裏付ける材料が増えました。
一方で、システムソリューション事業の受注高・次期繰越高の減少は、成長ドライバーとして期待されているセグメントだけに、今後の推移を注視しておきたいポイントです。

この四半期を一言で表すなら、「前年より良いペースで滑り出した最初の四半期」と言えそうです。

参考資料

・エクシオグループ株式会社「2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年8月7日開示)
・エクシオグループ株式会社「2026年度(2027年3月期)第1四半期決算 補足資料」(2026年8月7日開示)
・IRBANK(株価・PER・PBR・配当データ、2026年8月12日取得)
・エクシオグループ(1951)2026年3月期決算を解説|受注高14%増・15期連続増配へ(本決算記事)

免責

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。

※本記事で使用している数値は、監査法人のレビューを受けていない速報値です。

※内容には十分注意していますが、数値の転記・計算ミス等がある可能性があります。

※投資判断は、ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

※本記事の内容は、記事作成時点で確認できた情報をもとに作成しており、その正確性・完全性を保証するものではありません。

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